1年ぶりくらいの発表。かなり毒があるけど、やたら”3D”CTと喧伝する歯科用CTの現状で混乱は避けたいのでワクチン?
CTの再構成について臨床側にはかなりの誤解がある。数学的原理と、実際の機構や投影測定時の雑音などに対する安定性の要求からなされていることがごちゃごちゃだ。これらは、わからなければ、例えば簡単にネットなどで検索できる。CTでノーベル賞を受賞した CORMACKの受賞講演(EARLY TWO-DIMENSIONAL RECONSTRUCTION AND RECENT TOPICS STEMMING FROM IT,Nobel Lecture, 8 December, 1979 by ALLAN M. CORMACK)等を読めばそれでいいし、専門外には困難かもだが、有名な物理学会誌の2つの論文読めばいい。それでも無理なら潔く混乱・誤解の元を作らず、メーカー技術者に依頼するのが良い。無論一般臨床には不要かもだが、画像専門家としてCTについて講義したり講演したりするのなら最低限のマナーでは?推薦してる本はもう理工系ではいまさら学会発表?の”フーリエ解析入門 プリンストン解析学講義1 エリアス.M.スタイン ラミ.シャカルチ 訳 新井仁之 杉本充 高木啓行 千原浩之 日本評論社 東京”
CTは360/180度方向の全周全体の投影データがあれば数学的に、、はよく散見されるマチガイである。2次元では数学的にはドーナッツ🍩型でも切ったケーキ🍰型でも可能。蚊取り線香のように外から再構成の説明
ただし測定誤差に大変弱いので、実際には機構面からも容易な全周の全体を投影する必要がある。コ―マックは最初の論文はドーナッツ🍩型、で安定しないとの批判で次は視野全円〇のスキャンを報告した。ほかにも間違いは多い。要するにCT投影・画像再構成はなんでもかんでも360/180度のラドン変換・反転に帰着ではないのだ。ただここではいわゆる不完全投影はあまり触れない。
さてよくある線形代数的解法。2Dの普通の再構成ですら容易ではない。
これ一見、巨大な疎行列でも帯行列に、、、なってくれないのです。ですから計算にはCT投影の性質使った今では定番の配列と計算の圧縮が当然必要です。私の学位になった研究でも大変(あんまり数学では困るという査読の方が面倒でしたけど)でした。今ならLAPACKの拡張に帯行列でないのもありますが。
フーリエでのすこしごまかし?説明?答弁?投影はそもそもフーリエ変換ではないので2次元平面というかなり幸運な場合ですら?
”回転しながら投影するラドン変換”はフーリエ法では極座標-直交座標変換の問題(単なる変換誤差ではない不連続点ギッブス現象など)などイロイロあるが、特に重要なヘルガソン条件でみると
だから、CT再構成においてフーリエ切断面定理は、うるさく言うと
しかもラドン変換はそもそもn次元の被写体をn-1次元の投影積分するもの、画像再構成の反転公式もn-1次元の積分投影からn次元を再構成するもの。ゆえに2次元画像は経路に沿った1次元の投影積分データから再構成される。一方フーリエ法は1次元フーリエで多数方向から被写体n次元フーリエ空間を埋める。(説明ではよくフーリエ変換とラドン変換が都合よく混合されているが、実際の研究者や講義する教員や講演者でない、学生など向けのわかりやすい解説のためなら無論それもあり。)(きちんとした参考書はたとえばThe Radon Transform and Some of Its Applications, Stanley.R.Deans, Dover, New York, 2007 この本1983年から2回も復刊された名著。今はたったの17ドル95セント!95銭と!)。
しかし巷の3次元ばやりで浮かれると、大変な被曝の増加とそれに見合わない効果しか得られない。要するに臨床では、被曝低減のため、できるだけ(雑音などに対処しながら)過剰条件よりも必要十分条件側の投影で済ませたいのだ!おまけにX線減弱は単なる引き算でなく、対数というとても厄介な性質がある。地に足のついてない酔っ払い3次元の喧伝では患者は困るのだ。きちんと被曝と画質の検討が数学的に要求される。
ラドン変換からの”基本的”n=3次元画像再構成では全球上のn-1=2次元の平面の面積分からの反転となり、そもそも例えばフラットパネルのような2次元位置データを持つ検出器の投影データからではないのだ!つまりホントは現在のMDCTといえども、ほとんどラドン変換からみたら2次元の積み重ねでしかない。そして被曝低減からはこれが正しい。厳密解の無い単一円周軌道コーンビームCTの現状はこの近似フェルドカンプ解。(再度強調するとフーリエ法は1次元フーリエで多数方向から3次元フーリエ空間を埋める。)いずれにしても厳密解の存在する軌道は単一ではない。また被曝量は大きく異なる(X線減弱は指数・対数でありそのままでは線形ではない!)。
まあ、聴衆やメーカーを忖度期待で見くびって勉強しないで上から目線はダメだぞ!とシロートが勉強しないで上から目線で発表したから、数学者には怒られるだろうな。(;´д`)トホホだけど、でもたぶん副題 ”車輪の再発明 は恥?だが 役に立つ!” CORMACKはノーベル賞講演で先行数学研究をレビューしてそのフェアな姿勢は高く尊敬のマトになってきた。
Fourteen years would elapse before I learned that Radon had solved this problem in 1917.
なおチコチャンの替わりにコワレフスカヤ!にご登場願いました。